牧師と教会⑨「国際教会の形成に仕える牧師と教会」 ローマの信徒への手紙10章5~15節

牧師と教会⑨「国際教会の形成に仕える牧師と教会」

ローマの信徒への手紙10章5~15節

 

 ロティ・ムーン氏の祈りから始まったこの世界祈祷週間を覚えて礼拝を捧げることのできる恵みを神様に感謝します。今日は、牧師と教会シリーズの9番目「国際教会の形成に仕える牧師と教会」という宣教題です。世界祈祷週間を覚える今日の礼拝に国際教会というテーマを覚えることができるのも不思議な主の導きを感じます。ただし、国際教会というテーマは非常に幅広いため、2回シリーズとし、今日は特に世界祈祷週間を覚えつつ、国際教会へと招かれていることを覚えたいと思います。

 

 バプテスト連盟の総会資料に、国際宣教に関する理念が書かれています。

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☆「国際宣教」とは、国外での働きにとどまらず、国内諸教会の取り組みである。

 

☆私たち教会は神によってこの世に遣わされており、そこに「国内」「国外」の境目はない。

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 以前は、よく国外伝道という言葉が使われていました。海外に宣教師を派遣して、イエス・キリストの福音が全く伝えられていない、またはあまり伝えられていない場所に福音を伝える働きです。私は、このこと自体はとても尊いことだと心から思っています。私がボランティアに行かせていただいたOMという宣教団体の理念は、世界の中でほとんど福音が伝えられていない地に福音を伝える、ということでした。ちなみに、日本もクリスチャン人口は1%以下の「ほとんど福音が伝えられていない地」に含まれます。

 しかし、国際宣教と言う場合、国外での働きにとどまらない事柄となります。それは、「国内諸教会」の取り組みです。それは、他者のために執り成す取り組みです。特に、世界祈祷週間は、他者への執り成しの祈りと行動です。

 少し長くなりますが、今回世界バプテスト祈祷週間献金先に指定されている人々、機関を一つ一つ覚えたいと思います。私達が取り成そうとしているのは、具体的に困難をかかえ、そして助けを必要としている人々です。そして、主による救いが必要な人々です。

 

 アガペホーム(カンボジア)・・・2005年、インドのナガランド出身の2人の女性宣教師によって開設。家庭の事情で養育が難しい子どもたちを引き取り、仕事をしながら子どもたちを支え、子どもたちは、ここで成長し独り立ちをしていっている。2023年より女子寮の働きを決断し、現在5名の女子が入寮しながら学校生活を送っている。 

 

 ブレス・カンボジア・ネットワーク(カンボジア)・・・2010年、貧しい農村の開発と経済支援のために立ち上げられたNGO(非政府組織)。貧しい農村出身の大学生たちのために、プノンペンで無料の寮を運営している。2023年は、それぞれの寮に、女子大学生8名、男子大学生7名が住み、プノンペンの大学に通っている。

 

 ウムチョ・ニャンザ(ルワンダ)・・・ルワンダ大虐殺の被害者と加害者を家族に持つ、女性たち14名のグループ。2015年に誕生。メンバーたちは、共に働くことでジェノサイドの被害者、加害者の関係を乗り越え、和解と共生、そして生活向上の道をともに歩んでいる。

※ルワンダ虐殺:1994年4月から100日間続いた大虐殺。犠牲者は80〜100万人と推計される。

※ウムチョ:ルワンダ語で「光」。ニャンザ:ニャンザ村。

 

 イドナ村女性協同組合(イスラエル・パレスチナ)・・・イドナ村は、ヨルダン川西岸地区ヘブロンの郊外にある。「サラーム」(パレスチナの女性を支援する会[広島県])から派遣されている現地派遣員の働きにより、1997年に「イドナ村女性協同組合」が設立された。現地派遣員の方は、帰国されたが、女性たちは、パレスチナ伝統の手刺繍や製品(ショールやバック、小物製品)を製作し、「サラーム」を通じて販売し生活の安定と自立を目指している。

 

 ライズ&シャイン(ネパール)・・・ネパールバプテストキリスト教協議会の働きのひとつ。ネパールで人権が軽んじられている寡婦や単身女性に、みことばによる回復と励ましを与え、経済的自立支援のために液体洗剤づくり、バックづくり、などの職業訓練を行っている。

 

 プリ・キンダーガルテンスクール(インド)・・・ 2017年より、「プリ子どもの家」に代わり、新たな教育機関として「プリ・キンダーガルテンスクール」が開校した。今年は、気温40度にもなる猛暑を受けて政府の要請により、4月中旬から夏休みが始まり、6月から新年度が始まった。今年も、入学希望者の中から75名の生徒が通っている。新しい年度ごとに学校より生徒たちには、制服や靴をはじめ学用品を無料で配布し、通常の教科のほかにマルチメディア(インターネットの学び、視聴覚教材で物語を鑑賞など)や植物を育てる授業も行われ、校庭の遊具やサッカー、クリケットなどをして日々楽しく過ごしている。

 

 福島移住女性支援ネットワーク・・・2011年3月11日の東日本大震災の翌年、被災地在住の外国人移住女性たちの支援ため、外キ教(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト者連絡協議会)の働きとして結成された。現在の主な働きは、福島市と白河市での日本語学習支援(日本語サロン)。ボランティアの日本人サポーターたちによって、フィリピン、中国、ネパール、スリランカ、ベトナム、インドなど多国籍の方々が学んでいる。同時に、外国籍の方々の様々な相談や同行支援なども要請に基づいて担っている。

 

 BWAid (世界バプテスト連盟救援委員会)・・・世界各地で起こる災害や緊急課題に対して、世界中のバプテストの祈りを携えて現地に赴き支援活動を行っている委員会。毎年、女性連合からBWAidに献金をささげることを通して、世界の緊急課題のため祈りと支援を届けている。

 

 APBAid(アジア太平洋バプテスト連合救援委員会)・・・アジア太平洋地域の22カ国33,000を超える地方教会と65の団体によって構成されている (連盟も加盟し、APBF宣教委員を派遣している)。地域で起こった災害に対し、被災地における適切な初動対応の支援、被災地に対してのフォローアップと長期的なリハビリテーションを支援している。

 

 国際緊急支援・・・女性連合から自然災害などの緊急課題に対して、直ちに祈りと支援を届けたいとの願いから始められた。国内外で緊急支援を必要とされている場に送られている。緊急支援に残額があった場合、翌年度のBWAidへの献金に加算してささげる。

 

日本バプテスト女性連合HPより

 

 また、インドネシアの宣教師、ルワンダの国際ミッション・ボランティア、タイ伝道を祈り、献金が捧げられています。

 世界祈禱週間はこの時期にしかないからこそ、普段中々覚えることができていない国、機関、人を具体的に思いたいのです。そして祈り、支えたいと願います。繰り返しになりますが、海外での方々を覚え、執り成しの祈り、そして献金をささげることそのものが国際教会としての営みであり、それが私達であるということです。

 

 

12-13

「ユダヤ人とギリシア人の区別はなく、すべての人に同じ主がおられ、御自分を呼び求めるすべての人を豊かにお恵みになるからです。」

 ユダヤ人は初めに神様から選ばれた民、ギリシア人はユダヤ人以外を指す異邦人の代表として述べられています。今日覚えた方々、そしてそこに住む人々、そして私達、すべての人に同じ主、イエス・キリストがおられます。

 そして、罪と裁きにおいてすべての人に違いはありません。神様に犯した罪においてすべての人は等しい、というのが聖書の教えです。しかし同時に、神様の与える愛においてすべての人に違いはありません。主が与えられる恵みにおいても違いはありません。 

「主の名を呼び求める者はだれでも救われる」(13)、ここには何の制限もありません。この約束はすべての人に開かれています。

 呼び求めるのは助けを求めるためです。しかし、呼び求めることのできる人を知らなければどうして呼ぶことができるでしょうか。豊かに恵みを与える方を知らずに、どうしてその恵みに気付くことができるでしょうか。

14-15

「14ところで、信じたことのない方を、どうして呼び求められよう。聞いたことのない方を、どうして信じられよう。また、宣べ伝える人がなければ、どうして聞くことができよう。15遣わされないで、どうして宣べ伝えることができよう。「良い知らせを伝える者の足は、なんと美しいことか」と書いてあるとおりです。」

 信頼していない人に心を開き、心の内をさらけ出すことはできません。信じていなければ、本当の意味では呼び求められないのです。また、信じるためには、その存在を聞かなければできません。そして、その愛と恵みと救いの神様がおられることを誰かが伝えなければ、聞くことはできません。さらに祈りの内に神様から送り出されなければ、その人は伝えることはできません。世界に遣わされている方もそうですし、湘南台に立てられている私たちもそうです。

 

 世界バプテスト祈祷週間で覚えている方々は、地理的には遠い場所の方々が大半かもしれません。しかし、御言葉により、私達に区別はなく、同じ主が豊かに恵みを与えてくださる方々と知る時、近くに感じることができるのではないでしょうか。一人一人が助けられるように、そのニーズが満たされるように祈りたいと思います。そして何よりそこで働いておられる方々が祈り私達も祈っているのが、そこにいる一人一人が自ら「主の名を呼び求める」ことです。そこに救いが起こります。豊かに恵みを与える方をそれぞれが知ることになります。そこに物質的な必要を超えた違いが起こります。この約束を信じ、主イエス・キリストの名を知り、呼び求める方々が、今日覚えた方々に起こされることを、共に祈ってまいりましょう。