2024年1月21日(日)「初代教会の総会決議」 北九州キリスト教会 斎藤信一郎

2024年1月21日(日)「初代教会の総会決議」 北九州キリスト教会 斎藤信一郎

使徒言行録6章1-7節 (223p)【新共同訳】

◆ステファノたち七人の選出

1節 そのころ、弟子の数が増えてきて、ギリシア語を話すユダヤ人から、ヘブライ語を話すユダヤ人に

対して苦情が出た。それは、日々の分配のことで、仲間のやもめたちが軽んじられていたからである。

2節 そこで、十二人は弟子をすべて呼び集めて言った。「わたしたちが、神の言葉をないがしろにして

、食事の世話をするのは好ましくない。

3節 それで、兄弟たち、あなたがたの中から、“霊”と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼

らにその仕事を任せよう。

4節 わたしたちは、祈りと御言葉の奉仕に専念することにします。」

5節 一同はこの提案に賛成し、信仰と聖霊に満ちている人ステファノと、ほかにフィリポ、プロコロ、

ニカノル、ティモン、パルメナ、アンティオキア出身の改宗者ニコラオを選んで、

6節 使徒たちの前に立たせた。使徒たちは、祈って彼らの上に手を置いた。

7節 こうして、神の言葉はますます広まり、弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢こ

の信仰に入った。

◆お祝いのことば

西野修平牧師、湘南台バプテスト教会ならびにご出席の皆さま、またネットでご参加の皆様、共に牧

師就任按手礼拝にあずかることができたことを感謝し、お祝い申し上げます。

北九州教会における西野牧師はその誠実な人柄、心のこもった宣教、そして堅実な信仰生活の故でし

ょう。教会員から愛されてきました。特に牧師として献身を決意された時、教会全体で喜びました。本

日は北九州教会の皆さまと共に祝福と祈りを携えて来ました。

御教会が自発的に牧師招聘について考え、按手礼の学びを通して教会と牧師の存在意義、またお互い

の協力関係について、時間と労力をかけて理解を深められたことに敬意を表します。

ご一緒に、初代教会が重んじた教会の優先課題に関する決議とそれに続いた按手式の意義についてみ

ことばに聞きましょう。

◆総会開催に至った問題意識(教会の優先的な使命に関する共通理解)とは

まず使徒言行録6章で教えられることは、教会員の最低限の生活の必要が満たされるように、食糧を

必要に応じて配給する働きを、だれもが当たり前のように実践していたという事実。使徒たちもそれを

率先して実践した。ところが教会員の急激な増加に伴って、日々の配給の奉仕が滞っただけでなく、差

別が共同体内で起きているのではないかとの問題提起が浮上する。

 共同体全体の益を図るために行っていたはずの活動が、もともとギリシャ語で生活して来た教会員と

ヘブライ語で生活して来た教会員の間の差別問題へと発展する。これを重く受け止めた使徒たちは事態

の収拾を図るべく総会を開く。そこで使徒たちが強調した問題意識に注目したい。2節に「わたしたち

が、神の言葉をないがしろにして、食事の世話をするのは好ましくない。」とあるように、信仰生活に

おける福音宣教ならびに祈りに割く相対的な時間の減少が問題の根幹にあると訴えた。

 この問題意識、福音宣教と祈りに対する使命感こそ、初代教会がよって立つ要の教会理解であった。

使徒たちだけの業としてではなく、すべての信徒が多忙な現実の中でも最優先事項を福音宣教と執り成

しの祈りに据えながら生活する共同体であり続けること。これを総会決議で再確認したことに意義があ

る。

 この度、湘南台教会がたどった牧師招聘と按手礼理解のプロセスは、初代教会が重んじ、実践したこ

とと共通点が多く存在するのではないだろうか。教会の使命をどう理解し、その実現のためにどのよう

に役割分担をして福音宣教を担うかを教会全体で共有することは、非常に重要だと今回の聖書箇所から

も教えられる。そして、教会の使命の障壁となる事態が生じた時に、どこに問題の根幹があるのかを見

極め、どのように信仰による解決を見出していくのか、初代教会に学ぶところは大きい。

◆総会決議の後に按手を行ったことの意義とは

 次に初代教会が実際にどのように問題解決を図ったかを確認したい。彼らはギリシャ語に普段から精

通し、信仰面でも定評のある7人の奉仕者を任命することによって問題の解決を図った。5節に挙げら

れている7名はいずれもギリシャ語の名前だと言うことで一目瞭然である。この働きのために7人は総

会の中で選任された。しかも6節にある通り、彼らはこの働きに按手祈祷によって神と会衆との前で聖

別されて任じられていることに注目したい。按手による任職は、牧師やそれに準ずる職に就く者達だけ

に行うものではなく、教会の他の大切な職務にも広げることができることをこの箇所から示される。

 このような形で総会を開催し、適切な対応を図った結果、7節にある通り、「神の言葉はますます広

まり、弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢この信仰に入った。」という結果が導か

 

れたと聖書は証言する。この後に続く使徒言行録の内容とは、選ばれた7人の内のステファノとフィリ

ポが、その後も福音宣教を常に優先させて主と教会に忠実であったかが語られている。教会と世の中で

必要とされる働きに忠実に仕え、同時に教会の最優先課題として福音宣教と執り成しの祈りに邁進する

こと。この使命に我々一人一人も招かれている。今後も湘南台教会がますます主に用いられ、神の言葉

がますます広まることを祈念する。

 

北九州キリスト教会 斎藤信一郎